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「核ゴミ問題を考える北海道会議フォーラムin寿都町」の報告とまとめ(1)

投稿日:2021年8月24日

2021年7月10日11日に寿都町総合文化センターにて、「核ゴミ問題を考える北海道会議 in 寿都町」が開催されました。
これは今年3月に発足した「核ゴミ問題を考える北海道会議」が、核ゴミ問題を、北海道全体で、道民みんなで考え論議していくために、多様な立場や意見を持つ人々が参加して、学び合い、対話して論議を深める場をつくることを目的として全道各地で開催しようとする「集い(フォーラム)」です。
その第1回目として、昨年の11月から核ゴミの最終処分場の文献調査が始まった寿都町で開催いたしました。

参加者は寿都町だけでなく北海道各地から集まり、1日目2日目とも80名程度で、のべ160名程になりました。
1日目の冒頭、開会式では事務局長の川原茂雄が挨拶しましたが、そこで呼びかけ人のひとりである外岡秀俊さんからのメッセージを読み上げました。その内容がとても素晴らしものでしたので、その全文をご紹介します。


「分断」ではなく「対話」を

ジャーナリスト・外岡秀俊

寿都の会にお集まりのみなさん、お忙しい中を、よく足を運んでくださいました。

私もぜひ参加させていただきたかったのですが、たまたま今日の昼に2回目のワクチン接種を指定され、今回は札幌から、会の成功をお祈り申し上げます。

私は1996年に日米が沖縄の普天間飛行場返還に合意して以来、ずっと沖縄基地を取材してまいりました。この25年に見たのは、国が飛行場の代替施設を作るために地元から誘致を募り、新基地建設を推し進める国の強引なやり方でした。

その手法は地元の分断です。最初は開発が進まない北部に白羽の矢を立て、中南部と分断しました。次に北部の名護市で、さらに人口減少が続く東海岸の辺野古に目をつけ、西部の都市住民と分断しました。そして最後は、辺野古でも集落ごと、世帯ごとに攻勢をかけ、地域や親族、家族の間でも激しく対立する分断を招きました。

国は札束を切り、公共工事をちらつかせて誘致を迫る。反対派住民が声を上げても、推進派は黙っているだけです。当分の間、工事は続き、そのために潤う地元の人もいます。でも、人間関係がズタズタになった土地で大きくなる子どもたちは幸せでしょうか。地元を愛し、将来、自分たちの故郷を懐かしく思うでしょうか。

北海道会議のメッセージは単純です。

「地域を分断しない・させない」

国策を推進するため、地元に分断を持ち込むことを、私たちは決して許しません。最終的に、賛成・反対どちらの合意でまとまっても、それが本当の対話の結果であるなら、私たち、あるいは少なくとも私は受け容れます。

最後に一言、お願いを申し上げます。あなた方が愛する地元の寿都は、町民のみに支えられているのではないと思います。寿都、神恵内だけでなく、島牧、積丹、黒松内といった隣接の町村、そして地続きの札幌住民も、共に生きる隣人です。どうか、町外の隣人たちにも耳を傾け、あなたたちの声を、広く道民にも届けてください。私たちはすべてこの北の大地の恵みをうけて生きる同胞なのですから。

ありがとうございました。

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